参院選投票日を前に

明後日7月10日に投票日を迎える参院選に向け、各党・各候補者は先月22日の公示以来、選挙戦における各争点に関して論争を繰り広げてきた。


世界的なインフレに連動した物価高に円安、 それに伴う実質賃金の低下への対応、エネルギー政策、新型コロナ対策、少子化対策子育て支援等々、いずれも国民生活に直結する重要な争点である。


しかし、先の見えないロシア・ウクライナ戦争、力による現状変更を企図し軍事強硬路線を直走る中国、2022年上半期だけで過去のミサイル年間発射回数を更新した北朝鮮と、著しく悪化するわが国を取り巻く安全保障環境を踏まえれば、迫りくる脅威から日本をいかに守るのかという防衛・ 安全保障政策は、文字通り死活的に重要な問題として捉えるべきであろう。


改憲論議を含め、外交・安全保障政策に国民の関心があまり向けられていないのは蓋し残念である。

 

www.yomiuri.co.jp

 

 

いずれにせよ、今回の参院選を通じて各党・各候補のより具体的な安全保障政策案を聞きたかったところであるが、残念ながらいずれの主張も曖昧模糊たるものにとどまっている。

 

自民党は、今年5月に来日したバイデン米大統領に対し、岸田首相が「防衛費の相当な増額」を約束していることもあり、北大西洋条約機構NATO)の国防予算目標に当たるGDP比2% 以上を目安とした防衛費の増額を公約している。


また、日本維新の会も同様の公約を掲げており、 国民民主党は水準を示さずに増額を主張している(※)

 

(※)公明党と立憲民主は防衛力の「着実な整備」を訴えるのみで、共産党は防衛費増額に反対している。

 

自民・維新・国民民主の各党は「反撃能力」の保有を主張しているが、求められるのは防衛費の数値目標や「 敵の攻撃に対する反撃能力を持ちましょう」といった浅薄な主張ではない。


今現在、日本が安全保障上どのような危機に直面しており、日本を守るためには何がどれだけ必要か、あるいは「戦時」となった場合にどういった対応をとるのか、それらを勘案した場合、 結果的にどれくらいの防衛費増額が必要となるのか、といった現実的かつ具体的な政策論議である。


それを国民に向けて丁寧に説明していけば、自ずと日本の安全保障問題に対する国民の関心も高まっていくであろうし、GDP比2%以上を念頭に置いた防衛費増額を「無条件に喜べない」と、現場の最前線を担う指揮官に「個人的な感想」 を述べさせてしまう事態にもならないはずである。

 

news.yahoo.co.jp

 

 

国家の存亡に関わる安全保障であるからこそ、どこまでも丁寧な議論、丁寧な説明を期待したい。「右であれ左であれ、わが祖国」である。