NNNドキュメント「防衛大学校の闇」

www.ntv.co.jp

 

「幹部自衛官となるべき者を教育訓練する防衛省施設等機関」という性質上、特に1学年の間は「恐怖」と「理不尽」への耐性を身につけるための環境が人工的・意図的につくられています。

 

それが原因かどうかはわかりませんが、たしかに負の部分は枚挙にいとまがない学校ではあります。

 

何度も言いますが、よほどの覚悟がない限り耐えられる環境ではないです。

 

でもだからこそ、他では手に入らない何かが手に入るというか、闇の深さの分だけ潜在的な光も強いものだと思っています。

 

もちろん今回のような明らかに間違った「闇」はどんどん浄化されていくべきです。

 

「マイナスかけあわして プラスにしてしまえ」

 

あの稲葉さんもこう言っているので、何はともあれJust go on.

国際関係、国際情勢を学ぼう

国際関係や国際情勢に興味はあるけど、知識の土台がまったくない。

忙しくて勉強する時間がないし勉強の仕方もよくわからない。

普段から新聞や本を読む習慣がなく、文字を読むこと自体あまり得意ではない。

そんな大人が日本に300万人はいるはずです。

 

そんな300万人の方々におすすめなのがこちら↓

 

ゴルゴ13 192 軍隊を持たぬ国 (SPコミックス)

ゴルゴ13 192 軍隊を持たぬ国 (SPコミックス)

 

ゴルゴ13 191 1万キロの狙撃 (SPコミックス)

ゴルゴ13 191 1万キロの狙撃 (SPコミックス)

 

 ゴルゴ13 190 外交伝説の男 (SPコミックス)

 
肩ひじ張らず、ただ読むだけオッケーです。
楽しみながら国際情勢を学べます。
 
もちろん1巻から192巻まで全巻を読破する必要はありません。
基本1話完結なので、どこから読んでも大丈夫です。安心安心。
 
ちなみにコンビニにもよく傑作集が置いてあります。
地方のコンビニに行くとついつい衝動買いをしてしまいます。
 
まだ読んだことがない人はだまされたと思ってぜひ読んでみてください。
 
さあ、レッツゴルゴ!

宮嶋茂樹 写真展「THE CADETS 防衛大学校の日々」

f:id:akthos:20190406133220j:image

 

先日、銀座のキャノンギャラリーで開催されている宮嶋茂樹 写真展「THE CADETS 防衛大学校の日々」に行ってきました。

 

昨年10月末に発売された宮嶋さんの写真集『鳩と桜 防衛大学校の日々 National Defense Academy of Japan』からのカットがパネルで展示されていて、防大着校から卒業までの4年間の防大生活の流れが一通りわかるように順番に並べられています。

 

何より着校、入校当初の1学年と卒業間際の4学年では同じ学校の学生とは思えないほど目つき・顔つきが全く違うことに驚きました。

 

そして防大という「異様な空間」で、他所では決して体験することのない「異様な体験」をした、その一瞬にしか出ないであろう表情が抜き取られた写真の数々はとても感慨深いものでした。振り返れば、防大で過ごしていた日常はどこまでも「非日常」であり、瞬間瞬間が本当に特別なものだったと思います。当時は毎日が地獄でしたが。

 

なお、うちの鬼嫁はパネルに写る女子学生たちを見て「この人たち強そうね。かっこいいわ」とコメントしていましたが、「あなたの方が防大女子の300倍は強いんですけど…」などというわたくしの心の声は口が裂けても言えないのでした。

 

※開催期間は以下の通りです。お時間のある方はぜひ足を伸ばしてみてください。

銀座: 2019年4月  4日(木)~4月10日(水)

大阪: 2019年4月25日(木)~5月15日(水)

HP: https://cweb.canon.jp/gallery/archive/miyajima-thecadets/index.html

 

鳩と桜 防衛大学校の日々 National Defense Academy of Japan

 

bunshun.jp

ここ、試験に出ます

前回の記事の終わりの方に、今日では「宇宙・サイバー空間などが安全保障の最前線となりつつある」という旨記したが、政府ならびに防衛省自衛隊は、宇宙・サイバーに電磁波を加えた三つの領域で「(我が国の)優位性を獲得することが死活的に重要」であり、「陸・海・空という従来の区分に依拠した発想から完全に脱却し、全ての領域を横携させた新たな防衛力の構築に向け、従来とは抜本的に異なる速度で変革を図っていく必要がある」との認識を示している(※)

 

陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の「全ての領域における能力を有機的に融合し、平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動の常時継続的な実施を可能とする、真に実効的な防衛力」を構築していくこと、すなわち「多次元統合防衛力」の構築を進めていくことが、この先10年を見据えた日本の防衛戦略の骨子である。

 

(※)「平成 31 年度以降に係る防衛計画の大綱について」

 

ちなみに日本がこれまでに構築をめざしてきた防衛力は「基盤的防衛力」→「動的防衛力」→「統合機動防衛力」→「多次元統合防衛力」と変化してきた。

余談であるが、学生時代、防衛学の基幹科目の一つである国防論の試験にこれが出題されたのを覚えている。当時はまだ動的防衛力までだったので難なく書けたが、今の学生はちょっと大変そうである。

お金の話⑥――やっぱり足りない

はじめに結論から述べると、日本を取り巻く安全保障環境を踏まえれば、防衛費5.2兆円はまだまだ少ないと考えられる。

 

防衛費(軍事費)=防衛力(軍事力)とは一概には言えないが、国家間の実力を比較する上で国家予算のどの程度を軍事に割いているかは一定の指標になり得るものであり、各国政府関係者や安全保障の実務に携わる人間は少なからず注視している。

さて、下の表1は日本の周辺国の軍事費ならびにその対GDP比と、最新のGFP軍事力ランキングをまとめたものである(※)

表1

    軍事費(億ドル)   対GDP比(%)     軍事力ランク
米国 6,097 3.1 1
ロシア 663 4.3 2
中国 2,282 1.9 3
日本 454 0.9 6
韓国 392 2.6 7
北朝鮮 75 24 18
台湾 105 1.6 22

(※)SIPRI Military Expenditure Database

(※)INF World Economic and Financial Surveys

(※)GFP 2019 Military Strength Ranking

 

ここで注目して頂きたいのは日本にとって脅威となり得る国家の軍事費である。

 

安全保障上の脅威を最もシンプルに表すと、国益追求のためには他国に攻撃を仕掛けることも辞さないという「意思」と、それを実行することのできる「能力」を掛け合わせたものとなる。すなわち、

脅威=意思×能力

と表せる。そして日本にとっての脅威を考えてみると、人それぞれに認識は異なるであろうが概ね下の表2のようになるであろう。

表2

     意思     能力
米国      ☓      〇
ロシア      △      〇
中国      〇      〇
韓国      △      △
北朝鮮      △      △
台湾      ☓      ☓

  

日本の周辺国の中で現状変更志向の国は中国・ロシア・北朝鮮であり、とりわけ習近平政権の中国は「偉大な中華民族の復興」を掲げ、国連中心の他国間主義ないしアメリカ主導の国際政治経済から、中国を世界の中心とする国際社会へ変革することを本気でめざしている。そのための手段として武力を行使することに躊躇はない。

 

しかしその一方で共産党至上主義の中国は、民衆の党への支持が揺らぎかねない政策、すなわち「勝ち目のない戦争」は絶対にしない。つまり現時点では実力的に格上であるアメリカと戦争になることだけは何としてでも避けようとする。そこで日本としては「日米対中国」の構図を維持すること、すなわち日米同盟の堅持・深化を追求していくことこそが、日本が戦争のない平和国家であり続けるための最も合理的な戦略となる。

 

日本とアメリカは日米安全保障条約に基づく同盟関係にあり、日米安保条約第5条では日米両国が「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」ことが明記されている。アメリカの対日防衛義務である。

 

とはいえ、「アメリカには日本を守る義務があるから大丈夫だ!」と楽観することもできない。いざ日本が外敵から攻撃を受けたとき、アメリカが本当に日本を守ってくれるかどうかはその時になってみなければ誰にもわからないからである。中国が「どうせアメリカは日本を助けるための介入はしてこないはずだ」と考えれば、途端に「日米対中国」の構図が崩れてしまう。同盟にはこのような「見捨てられ」の不安が常に付いて回るのである。では日本はどうすべきか。

 

第一に、アメリカを頼りにしすぎることなく、「自分の国は自分で守る」という気概をはっきりと示すことである。そしていざという時の物心両面の準備を怠らないことだ。そうすることで「日本に攻撃を仕掛けたとても目的を達成できるかどうかわからない」と相手に思わせることができ、攻撃を回避することができるかもしれない(拒否的抑止)し、「日本を攻撃したらとんでもない反撃を食らうことになる」と思わせることが相手の攻撃意図をくじくかもしれない(懲罰的抑止)。何よりも、いくら同盟関係にあるからといって自力で自国を守ろうとしない日本をアメリカが本気で助けようという気になるはずがない。

まずは自助努力。その上で日米同盟を維持し、より深く機能的な関係を構築していくことで第三国から「日本に手出ししたらアメリカが出てくるからやめておこう」と思われることが理想である。

 

以上、ここまで述べてきたことを実行に移せば、5.2兆円程度の防衛費ではまず足りないはずである。たしかに7年連続の増額ではあるものの、アメリカが日本に買わせたい兵器を割高な値段で買った結果の増額ではなく、自衛のために必要な防衛力の強化整備を重ねた結果として防衛費が膨らむのでなければ意味がない。

特に宇宙・サイバー空間などが安全保障の最前線となりつつある今日、これらの分野への更なる投資が必要になってくる。対GDP比2%を目標にするのではなくとも、結果的に2%、10兆円程度になっても決しておかしくはない。

 

中国の軍事費は過去10年間で2.7倍、過去30年間で51倍に増加している。さらに予算の内訳が不透明であり、公表国防費は軍事関連予算の一部にすぎないとの指摘もある。加えてロシアまでも意識せざるを得ない日本が東アジアのパワーバランスを考えるとき、暗黙の「1%枠」からの脱却は避けられないのではないだろうか。

次回、お金の話 完結編(予定)

 

27日、一般会計総額が過去最大の101兆4571億円となる2019年度予算が参院本会議で可決、成立した。そのうち5兆2574億円を占める日本の防衛費。はたしてこれは多いのだろうか少ないのだろうか。

少し間が空いてしまったので、これまでの内容を整理したのち、次回、あらためて「お金の話」をまとめたい。

アメリカによるゴラン高原のイスラエル主権認定問題をざっくり確認

今月21日、トランプ大統領は歴代米政権の政策を変更し、1967年の第3次中東戦争を機にイスラエルが占領してきたシリア領のゴラン高原について、イスラエルの主権を認める方針を明らかにした。

これを受け、シリアは「主権と領土的一体性への侵害」であると批判を展開、またアラブ連盟のアブルゲイト事務局長も声明で「ゴラン高原は占領下のシリア領であり、米国の決定はその法的地位に何の変化も与えない」と強調し、「アラブ連盟は占領地におけるシリアの権利を強く支持し、この立場はアラブ諸国の賛同を得ている」との見解を示した。さらに、イスラエルと平和条約を結んでいるヨルダンや、レバノンなどの中東諸国も米国の一方的な主権認定を一斉に非難した。

 

 

トランプ政権の一方的な現状変更行為に対し国際社会で米国批判が広まるなか、25日にはイスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談に合わせ、トランプ大統領ゴラン高原におけるスラエルの主権を認める宣言に署名した。 

アメリカがゴラン高原におけるイスラエルの主権を認めることについて、シリアの後ろ盾となっているロシアは強く反対してきた。アメリカによる正式承認後、ロシアのラブロフ外相は「イスラエルの主権を認めることは重大な国際法違反だ。シリア危機を収束させる上で障害となり、ひいては中東全体の情勢を深刻化させる」と牽制している。

また、ロシア以外にも国連安保理理事各国からアメリカの行為を批判する声が相次いでいる。中国は「ゴラン高原は国際的に(イスラエルの)占領地と認識されている」と指摘した上で、「事実を変える一方的行動に反対する」と表明。理事国の欧州5カ国も共同声明で「違法な併合」を承認することに伴う結果に「強い懸念」を示した。

 

 

国際社会の反発が予想されたにも拘らずトランプ大統領が今回の署名に踏み切った目的としては、来年の大統領選挙を見据えイスラエルを擁護する姿勢を鮮明にすることで、キリスト教福音派など国内のユダヤ系支持基盤を固めることが挙げられる。

しかしその一方で、シリアやその後ろ盾のロシア、イランが反発し、緊張が一気に高まることも懸念される。またしても中東和平に暗雲が立ち込める形となった。